コラム

 公開日: 2016-01-31 

厚生年金の悪質加入逃れに基準策定

厚生年金の加入漏れ200万人!

少し前の話ではありますが、厚生年金の加入要件を満たしているにも関わらず、国民年金に加入している人が、全国で推計200万人いることが判明したとの記事を目にしました。また、国税庁による企業の税関連情報と厚生年金の加入記録をつき合わせた結果によると、厚生年金の加入対象となる可能性がある事業所は現在全国に約79万件あるとのことで、全国の日本年金機構の職員を中心として、2017年度末までに79万事業所の実態を調査する方針ということです。さらに、厚労省と日本年金機構が連携を図り、保険料を払いたくないなどの理由で厚生年金への加入を逃れている悪質な事業主については、刑事告発するかどうかを判断するための新たな基準を策定する方針を固めたとのことでした。

厚生年金に加入しないのは?加入しなくて良いの?

企業規模や企業形態にもよると思われますが、その要因の1つとして、事業主が保険料の半額負担に伴う労務費の増加を回避したいという意向があるのではないかと思われます。 また、実際に厚生年金や健康保険に加入している当事者の中にも、給与から控除される社会保険料が多いと感じる人やできれば社会保険に入りたくないという人もいるかもしれません。 しかしながら、だからと言ってそれが許されるはずもなく、法律で定まっている以上、これを無視することは許されないことになりますよね。そのため事務的に考えれば、法律で定まっていることなので要件に該当すれば社会保険に加入させる必要があるということが前面に出てくることは仕方のないことなのかも知れません。しかし、そのような事務的な部分だけでなく、社会保険の主旨を考えてみることも必要なのではないでしょうか。例えば、将来の年金について、平成27年度価格で国民年金の老齢基礎年金の満額が780,100円/年で月額65,008円ということになります。老後を迎えた時に、よほど蓄えが無い限り、月額65,008円で生活することはなかなか難しいのでは?と考える方も少なくないのではないでしょうか?そのような状況下においては、将来の年金額を少しでも増やす方法として、厚生年金保険に加入することもその術の1つであり、国民年金だけに加入しているという状況よりは、気持ちの部分でも多少の安堵感を得られる場合もあるかも知れません。 また、何かあった時に障害厚生年金や遺族厚生年金などの制度を活用できる面についてもメリットがあるのではないでしょうか。また、会社で加入する健康保険においては、病気やケガで就労できず、休業をやむなくされた場合の休業補償の制度は、国民健康保険にはない大きな特色ではないかと思います。ですので、勤務する従業員にとって社会保険への加入は、将来の年金の増額や病気等による休業時の給与補償など、少なからずのメリットを感じることができるものではないかと思います。また事業主にとっても、従業員が安心して業務に取り組めるよう適切な労務管理を行うことは事業運営においても重要であるとともに、事業主と従業員の信頼関係にも繋がるのではないかと思われます。

今後の取り組みは?

今回の実態調査の対象となる事業所の中には、ここ最近耳にすることが多い、いわゆるブラック企業といわれる事業所が含まれているのではないかと思われますが、また一方では従業員を加入させたくても、 経営状況により対応が物理的に困難な事業所もあるかも知れません。 しかし、理由によって加入させなくて良いということにはならないのは言うまでもありませんし、要件に該当する事業所に対して、昨今の社会情勢を鑑み、適切に社会保険に加入させるようより厳しい基準を持って対応を図らざるを得ないということは理解できるところではあります。ただし、より厳しい取り締まりを行うだけでは、根本的な問題の解決に繋がらないのではないでしょうか?今後は、労使双方が加入しやすいようにする仕組みや取り組みについても併せて検討を行っていく必要があるのではないでしょうか。



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