コラム

 公開日: 2015-08-12  最終更新日: 2016-01-13

障害者に対する「合理的配慮の提供義務」とは?

前回のコラムでは、平成28年4月から施行される改正障害者雇用促進法の内容のうち、「障がい者に対する差別の禁止」について取り上げました。

 「雇用分野における障がい者に対する差別の禁止とは?」

今回は、もう一つの重要な改正内容である「合理的配慮の提供義務」について取り上げます。

■合理的配慮の提供とは?
改正法により事業主に義務として課されることになる、障がい者に対する合理的配慮の提供。それは、障がい者と障害を持たない者との均等な機会・待遇の確保と、障がい者が有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために、障害特性に配慮した措置を講ずることです。企業に対して、個々の障がい者の障害特性に配慮した募集・採用、及び採用後の雇用管理が法律上求められることになります。


■義務とならない場合
一方で、障がい者が希望する障害特性に配慮した措置が、企業にとって「過重な負担」に該当する場合は、希望通りの措置を講ずる義務はないとされています。この「過重な負担」に当たるか否かについては、次の6つの要素を総合的に勘案した上で『事業主』が判断します。

(1)事業活動への影響度(企業の生産活動やサービス提供への影響)
(2)実現の困難度(人材の確保や設備の整備等の困難度)
(3)費用や負担の程度
(4)企業規模
(5)財務状況
(6)公的支援の有無(公的機関からの人的支援や助成金などの公的支援が利用できるか)

企業側に判断が委ねられている以上、過重な負担となるために障がい者が希望する措置を拒否するようなケースでは、判断に至った適正な理由を説明できなければなりません。
また、希望する措置を講じえない場合であっても障がい者と十分に協議し、過重な負担とならない範囲の何らかの対応は求められています。


■合理的配慮の提供プロセス
「募集・採用時」の合理的配慮は、求職者である障がい者からの申し出が契機となります。申し出があった場合、企業は障がい者と障害を持たない者との間で均等な機会が確保されるよう、障害特性に配慮した対応を提供する必要があります。例えば、求職者が面接時に就労支援機関等の支援者の同席を希望し、それを認めるようなケースが該当します。

一方で、「採用後」の合理的配慮については、障がい者からの申し出が契機となるとともに、事業主側からその雇用する障がい者に対し、職場で支障となっている事情の有無を確認することが求められています。申し出があった場合は、企業は障がい者と障害を持たない者との間の均等な待遇の確保や、障がい者がその有する能力を有効に発揮できるよう、障害特性に配慮した雇用管理上の対応を実施しなければなりません。
例えば、口頭による作業指示のみでは理解が難しいという障害特性を持つ発達障がい者から、作業方法・作業手順を視覚化してほしいと希望があった場合に、会社側で作業マニュアル等を整備するようなケースが該当するでしょう。

また改正法は、合理的配慮に関する従業員からの相談に対応する担当者・部署などの窓口を設置し、これを周知することを企業に求めています。


障がい者雇用に関する国の施策については、これまでは雇用率制度や納付金制度といった「法定雇用者数の達成」を主眼に置いたものでした。障がい者に対する差別禁止・合理的配慮の提供義務という今回の法改正により、今後企業には単に一定の人数を雇用するのみならず、障がい者が能力を発揮できるような人事活動と雇用環境の改善まで求められていると言えるでしょう。


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