コラム

 公開日: 2012-12-13 

家事事件の手続きが変わります~家事事件手続法 施行~

 いつもコラムをご覧いただきありがとうございます。
 弁護士の中野です。
 
 今回は、平成25年1月1日に施行予定の「家事事件手続法」という法律についてお話します。


 これまで、家事事件に関する規律は、家事審判法、家事審判規則、非訟事件手続法等様々な法律によっておりましたが、非常に複雑であること、また、規則や各裁判所の運用に任せる部分が多く法律として不十分であることが指摘されていました。

 これらの指摘に応えるために、各種手続を整備して誕生したのが「家事事件手続法」です。

 この家事事件手続法、主目的は「手続」の整備ですから、実際に一番大きな影響を受けるのは、これを運用する側(つまり裁判所側)であり、利用する側(当事者側)にはあまり関係のないものも結構あります。
 そこで、今回は、この家事事件手続法のうち、利用者の方に大きく関係してくる改正事項をお伝えしたいと思います。

 ただし、改正事項の全てをお伝えすると膨大な量になってしまいますので、「離婚調停」に特化して、特に「これだけは知っておいて損はないのでは」と思われるものを列記してみました。



 ●家事調停申立書、家事審判申立書が相手方に送付されます(法67条1項)

 少し意外かもしれませんが、これまでは、「家事調停申立書」、「家事審判申立書」の写しが相手方に送付されることは基本的にはありませんでした(ちなみに、裁判の場合には必ず「訴状」が被告へ送付されます)。

 しかし、家事事件手続法では、「家事審判(あるいは家事調停)の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるとき」を除き、原則として申立書が送付されます。
  
 例えば、相手方に内容をみられることで申立人のプライバシーや名誉が侵害される場合やひどいDV事案等、相手方に対する強い非難的な内容があり、これを送付することで話合いが円滑に進まなくなることが懸念される場合等が想定されるかと思います。

 ただし、一般的に調停を申し立てる以上は紛争が顕在化しているものですから、よほどの事情がない限り例外事由には当たらず、送付されるものと考えておいた方が良いと思います。
  
 申立書にあまり過激なことを書いてしまって、まとまる話もまとまらなくなってしまった・・なんてことにならないよう、今から申立てを考えておられる方はご注意を。

 ※なお、裁判所によっては、既に試験的に申立書の原則送付を始めているところもございます。
  おそらく、その場合裁判所の担当者から説明があるとは思いますが、こちらも併せてご注意ください。



 ●事件記録の閲覧・謄写を原則として認めることになりました(法254条)

 これまでは、家庭裁判所が「相当」と認める場合に限って事件記録の閲覧・謄写をすることができたのですが、家事事件手続法では、原則として閲覧・謄写をすることができます。
 
 「事件記録」というのは当事者が裁判所に提出した書類等一式です。
 これを閲覧・謄写することで、相手方が裁判所に対してどんなことを言っているのかをより正確に把握できることも多いので、一度はやってみても良いかもしれません。
 詳しくは裁判所にお問い合わせください。



 ●電話会議の制度を利用できるようになりました(法258条1項、54条)
  
 電話会議とは、当事者が遠隔地に居住している場合等に、電話で裁判期日を執り行うことのできる制度です。
  
 これまでは、民事訴訟においてのみ認められておりましたが、家事事件手続法においては、当事者が、「遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるとき」は、電話で調停を行うことができるようになりました。

 家事調停の裁判所の管轄は相手方の住所地ですが、これまでは、どんなに遠方であっても、期日の度に裁判所まで行かなければなりませんでしたから、「今、自分は東京に住んでいるけれど妻とは別居しており、妻は実家の沖縄に住んでいる。」・・なんて場合には大変でした。
  
 相手方が遠方に住んでいる場合、出頭が大変なため事実上申立てができない・・・という方もたくさんいらっしゃったと思います。
 
 これが電話でできるようになったということは、利用者のコスト面からは非常に有意義かと思います。

 ただし、電話会議ができるようになったとはいえ、調停委員の顔を見て直接話をするのと、電話で話をするのでは、やはり印象が違います。
 
 そうすると、法律上は電話会議ができる場合であっても、面倒がらずに出頭した方が望ましい場合もあるかもしれませんね。

 また、調停が成立する場合の期日は、法律上電話会議をすることができません(法268条3項)。

 なお、この制度、現段階では原則として携帯電話での利用はできないようです。
 事情によっては許可される場合もあるようですが、基本的には固定電話での申請を行っていただくのが良いかと思います。



 以上、離婚調停申立てに当たって特に大事な部分をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

 なお、これらの規制は、平成25年1月1日以降の申立てについて適用されます。
 「電話会議を利用したい!」等のご希望のある場合、平成25年1月1日以降に申立てを行っていただきますようご注意ください。


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