コラム

 公開日: 2014-05-16 

「職場のうつ」は「うつ病」?

「職場のうつ」とはなんでしょうか。
定義はありませんが、「職場と関連して生じたうつ(状態)」のことを表した造語なのです。
一定の水準までは悪化せずに、一定期間の継続性を認めない抑うつ気分を生じても、その時点では「うつ病」とは言えません。「うつ病」と診断されませんが、職場のことに関連して起こる、本人の価値観や性格、これまでの対人関係、職場の組織風土、就労規則、社会的におかれた状況などから「大うつ病性障害」の診断基準を満たせば、職場の「うつ病」なるのでしょう。診断基準を下回る気分の落ち込みや変動を含めて「職場のうつ」と呼んでいます。一度も「うつ病」の診断基準を満たさずに、最初からずっと「職場のうつ(状態)」である人も多くいらっしゃるようです。

 「うつ病」と「うつ状態」にはちがいがあります。うつ状態はその時に気分がいつもより落ち込んでいる状態のことをいいます。その程度や持続期間も決められているわけではなく、うつ病とは本来異なります。うつ病と診断された時には、一定の重症度と一定の症状継続期間が認められたと考えられますので、この時点での診断に問題はありません。その後、休養や投薬などの治療が行われ、症状が軽減します。この状態を医学的には寛解(かんかい:一時的に症状が軽くなったり消えたりしている状態で治ったわけではない)といいますが、寛解の状態ではこのまま治る可能性もありますが、再発する可能性もあります。

では、「職場のうつ」への対応は「うつ病」と同じでいいでしょうか。
うつ病については治療ガイドラインなどもあります。病気として精神科主治医が薬物療法などの治療を行うことと合わせて、適切な心理療法(認知行動療法など)が効果的だと実証されています。治療によって家庭生活がなんとか送れるくらいに回復しても、仕事が普通にできることには大きなギャップがあることも多いでしょう。患者の周りの上司、同僚、家族がそのギャップを理解して支えていくことが求められます。

うつ病とまではいえないうつ状態には、職場風土や個人の価値観、診察場面では対応困難な具体的な人間関係の問題、人事労務規約などの制約問題などが複雑に絡んでいるため、医師の治療を受けたとしても限界があるでしょう。会社の人事労務担当者、上司、産業保健スタッフなどの多くの人の理解を得て、さまざまな社会資源も利用して多面的に連携することが大切です。そこで職場外部からの労働者支援としてEAP(employee assistance program :従業員支援プログラム)やリワークプログラムなどもありますので、活用していきましょう。EAPは職場での対応も求められます。大企業と中小企業の対応の違いや、職種に応じた対策も十分な配慮と工夫が必要です。

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