谷口庄一

たにぐちしょういち

リージョナルブレインズ

[ 一宮市 ]

コラム

 公開日: 2017-08-08 

自然災害とまちづくり

自然災害とまちづくり


大学院修士課程の時の事でした。インド工科大学マドラス校のD.J.Victor教授を1年間教授として迎え入れることになり、私の所属していた紺野昭教授の都市・地域計画研究室が窓口となっていましたので、Vivtor教授の担当科目の調整や日本での研究プラン調整を行うために私がしばらくインド工科大学マドラス校にあるVivtor教授の研究室に派遣されていた時期がありました。今はインド工科大はインド国内に16校ほどあるそうですが、当時は4校で、すぐに7校に増えた時期でインドが科学技術者養成を本格的に力を入れた時期でした。
 

キャンパス内に野生のシカ


インド工科大学マドラス校に滞在中は外国人研究者のためのゲストハウスに宿を用意していただき、生活については大学院生が2名担当についてくれました。
その大学院生たちがキャンパスを案内してくれていたときのことです。インドの都市内では普通に見かけるリスはともかく、野生のシカなどがキャンパス内を自在に移動しているのです。奈良公園などで見かけるようなシカではなく、本当に野生のシカなのです。
私は驚いて、
「あれは何?」
と大学院生に聞いたら
「あれはシカだ。日本にはシカはいないのか?」
と応えてきた。
「いや、そんなことではなく、なぜ、キャンパス内に野生のシカが居るのか?」
と聞き直したら
「シカの住んでいるところにキャンパスを作ったからだ」
と明快な答えが返ってきた。


写真はヤギですが、ヤギもキャンパス内を自由に歩いています。シカはなかなか近づけませんでした。
 

まちはひとがつくる


私はこの彼の一言がとても刺さりました。
当時の私は「如何に自然を克服することができるのか」を追求することが工学や科学技術者の目的だと思っていました。
しかし、よく考えてみると人間が都市やまちをつくる空間というのは、人間が初めてその空間を利用するのではなく、シカやクマなどの生物のみならず、山や川など自然の空間が先にあって人間が後からやってきたということを理解して、自然とどう向き合うかということを考えていくことが工学ではないのか・・・と気づいたのです。

自然災害は人間が被害者なのか

 
最近、熊やシカ、ヘビなどが人間を襲ったというニュースや、豪雨による土砂災害や都市内の洪水などが頻繁に起きるようになってきました。
必ず「人間は自然を克服できていない」といった論調で報道されることが多いですが、その視点から社会資本を整備することにもともと無理があるのではないでしょうか。
生物が居る、川が溢れる、浸水するといったことを受け入れたうえで、そこに暮らすためにどうすれば良いのかを考えることがまちづくりの軸にすべきなのです。
もちろん、短期間で近代社会を構築することを選択した日本は簡単に変更するのは難しいと思いますが、人口減少社会をうまく活用して、まちづくりの視点を見直すチャンスなのではないでしょうか。

この記事を書いたプロ

リージョナルブレインズ [ホームページ]

谷口庄一

愛知県一宮市本町4丁目21番26号 [地図]
TEL:058-628-7270

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
セミナー・イベント
これまでの実績

稲沢市政策課題研修小牧市政策形成研修新城市地域活動支援員研修奥三河ビジョンフォーラム:ファシリテーションクリニック中京テレビゲストセミナー講師

事業紹介

地域活性化の調査

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
建物を前に立つ谷口さん

総合的な知見からまちづくりを提案する都市環境プランナー(1/3)

 都市環境プランナーとして自治体やNPO、企業などとタッグを組み、まちづくりに携わるとともに、“地域の知恵”を意識した環境イベントの開催などを手掛けるリージョナルブレインズ代表取締役の谷口庄一さん。「その土地に住む人たちが主体となった、暮ら...

谷口庄一プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

“まちづくり”は“ひとづくり”

会社名 : リージョナルブレインズ
住所 : 愛知県一宮市本町4丁目21番26号 [地図]
TEL : 058-628-7270

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

058-628-7270

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

谷口庄一(たにぐちしょういち)

リージョナルブレインズ

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

周年記念の大きなイベントを開催することができました!

これまでは、地元の人たちが中心となって楽しむイベントを行...

K・Y
  • 男性 
  • 参考になった数(0

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
“まちづくり”と“まちおこし”

“まちづくり”と“まちおこし”の表記は似ていますが、内容は少し違います。まちづくりはそこの土地に住む方々がそ...

[ まちづくり ]

レゴランドと名古屋のまちづくり

 レゴランドジャパンの名古屋へのインパクト 名古屋にレゴランドが開園して盛り上がるのかと思えば、なぜか...

[ まちづくり ]

「ふわふわ」したまちづくり会議になってしまう原因とは

「まちづくり会議」や「まちづくりワークショップ」はかなり一般的になってきましたが、「ふわふわ」っと時間が過...

[ ワークショップ ]

まちづくりワークショップはどこまで機能するのか?

全国各地でまちづくりワークショップが一般的になり、市民参画などを規定した住民自治基本条例などが制定されてい...

[ “まちづくり”と“まちおこし” ]

まちおこしが真似できない理由

まちおこしの企画を考えようとすると、他でやっている事例などを参考にすることが多くなります。参考にすること...

[ まちおこし ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ